オフコンからオープンソースへ

80年代から90年代にかけて多数の中小企業に導入されてきた「オフコン(オフィスコンピューター)」は、比較的リーズナブルな価格、導入のしやすさ、カスタマイズによる業務への最適化など、多くのメリットを企業に提供してきました。

しかしながら、最近ほとんどのコンピューターメーカーが自社製オフコンのサポート終了を発表しています。導入時に用いられた機能を発展させる余地がなく、メーカー側のサポート終了と共に、オフコンを導入した多くの企業では既に「技術的負債」となりつつあります。「第三者保守」や「仮想化環境内での実行」のように、サポートが終了したシステムを延命させる手段はありますが、長年使い慣れ親しんだシステムそのものが、ユーザーがより多くの選択肢や恩恵を得る上での障害にすらなっています。

現在のシステム開発現場では、その時々の最新技術を取り入れていくことで、大きなコスト削減や利便性を追求できるようになってきました。特に、ウェブサーバー上で動くアプリケーション(ウェブアプリ)をオープンソースソフトウェア(OSS)で構築することが、現代システム開発のトレンドです。

OSSは、コミュニティに参加する無数の開発者によって開発された、使用する上でライセンス料が掛からないソフトウェアのことです。既に20年近くの歴史を持つようになったOSSの中には、業務アプリケーション開発において、便利なソフトウェアを多数揃えるようになりました。それらの例としては以下があります:

  • Ruby on Rails: ウェブアプリ開発のためのフレームワーク
  • MySQL / PostgreSQL: 商用製品並の機能を持つデータベース
  • Bootstrap: ウェブアプリ画面作成のためのフレームワーク(デザイン部品)
  • Linux: 業界標準となったサーバーOS
  • Git: 業界標準となったコードのバージョン管理(変更履歴)
  • Docker: 業界標準となったサーバーコンテナ技術

これら最新のOSSに長けたエンジニアが一人いれば、OSSが提供する様々な恩恵を受けながら、オフコンで動いていたシステムと同等の機能や操作性を持つ(もしくはそれ以上の)システムを作り上げることが可能です。次に、OSSがシステム開発にもたらす様々なメリットについて説明していきます。